「ただの広告」を「みんなの遊び」に昇華。アース製薬のビンゴ型SNS施策
「X(旧Twitter)やInstagramでキャンペーンを実施しても、フォローやリポスト(いいね)で終わってしまい、ユーザーの記憶に残らない」
「指定ハッシュタグをつけて投稿してほしいが、ユーザーにとってハードルが高すぎて集まらない」
SNS運用担当者であれば誰もが直面するこの課題。景品目当ての「懸賞アカウント」ばかりが集まり、本来のターゲット層とのエンゲージメントが深まらないという悩みは根深いものです。
この記事では、2025年最新の国内SNSマーケティングにおいて、ユーザーの参加ハードルを劇的に下げながら、ブランドの理解度まで深めることに成功した「アース製薬」の秀逸なキャンペーン事例を解説します。
「ゲーミフィケーション」を取り入れた、思わずシェアしたくなるSNS設計のヒントを手に入れましょう。
【事例の概要】
- 企業名: アース製薬株式会社
- プロジェクト名: 「ノーマットビンゴ」キャンペーン(Instagram連動型)
- 時期: 2025年
- 概要:
主力商品である「アースノーマット」のプロモーションとして、Instagramを活用したユーザー参加型の「ビンゴキャンペーン」を実施。特設サイトや公式アカウントを通じて、日々の生活の中にある「蚊・虫よけあるある」や商品に関するちょっとしたアクションなどが書かれた「ビンゴカード」を配布。ユーザーは公式アカウントをフォローした上で、達成したビンゴカードのスクリーンショットや、関連するライフスタイルの写真を指定ハッシュタグと共にストーリーズやフィードに投稿し、ビンゴを揃えることでプレゼントの抽選に参加できる仕組みを作りました。
【ここがスゴイ!3つのポイント】
1. 日常の「あるある」をゲーム化する(インサイト視点)
単に「商品を買って投稿して」という企業本位のお願いではなく、「蚊が耳元で鳴いて眠れなかった」「気づいたら足が3箇所刺されていた」といった、ユーザーが強く共感する「あるあるネタ(インサイト)」をビンゴのマス目に配置しました。これにより、ただの宣伝が「自分の日常を楽しむゲーム」へと変換され、ユーザーに「わかる!」「私はもうビンゴになった!」と言いたくなるコミュニケーションの理由を与えています。
2. 段階的な参加による「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」の量産(設計視点)
「写真を綺麗に撮って投稿する」という高カロリーな要求だけではなく、「まずはビンゴカードの画像をストーリーズにシェアするだけ」という極めて低いハードルから参加できる設計が秀逸です。ビンゴのマス目を埋める過程で何度もSNSを開き、投稿(シェア)するモチベーションが保たれるため、一過性ではない継続的なエンゲージメントと大量のUGCを生み出すことに成功しています。
3. ゲームの過程で自然に「ブランド理解」が進む(マーケティング視点)
ビンゴのマス目の中には、日常のあるあるだけでなく「ノーマットをコンセントに挿した」「ノーマットの残量をチェックした」といった商品に関するアクションも組み込まれています。ユーザーはビンゴを揃える(ゲームをクリアする)という目的のために能動的に商品について調べたり体験したりするため、押し付けがましさゼロでブランドの認知と理解を深めることができます。
【実践への応用(Takeaway)】
この事例から学べるのは、キャンペーンの応募条件を「単発の作業」ではなく「遊び(ゲーム)のプロセス」に落とし込む思考法です。
■ 明日から試せる具体的なアクションプラン
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* **「ユーザーがすでにやっていること」をリスト化する**
自社商品やサービスに関連して、ターゲットが日常的に無意識でやっている行動や「あるあるネタ」を5〜10個書き出します。(例:カフェなら「新作が出るととりあえずチェックする」「写真を撮る前に一口飲んじゃった」など)
* **行動を可視化する「フレーム」を用意する**
書き出したリストを使って「ビンゴカード」「 ToDoリスト」「診断チャート」のような、ユーザーが自分の状況をチェックしてシェアしたくなる画像(フレーム)を作成し配布します。ユーザーはそこにチェックを入れるという「自己表現」のために、あなたのアカウントを喜んでメンション(タグ付け)してくれるはずです。
【まとめ】
アース製薬の「ノーマットビンゴ」キャンペーンは、「景品(モノ)で釣る」のではなく「体験(コト)の面白さで巻き込む」という、現代のSNSマーケティングにおける最も理想的なアプローチを体現しています。
「どうすればユーザーに楽しんでブランドの宣伝マンになってもらえるか?」。このゲーミフィケーションの視点が、情報過多のタイムラインで埋もれないための強力な打開策となります。