CreativeNews
UGCジャンプ

100kg挙げないと買えない服

100kgを挙げた瞬間、服は『買うか迷う商品』ではなくなる。 そこにはもう、買うかどうかの思考が入らない。 達成した自分を持ち帰るための証明になる。

WHY IT WORKS

仕掛けを分解する

ベンチ100kg達成者限定アパレル「PRΣSS」

この施策の面白さは、100kgを挙げた人だけが買えることだけではありません。

検定会に参加し、100kgを挙げた瞬間、その人にとって服は『買うかどうかを考える商品』ではなくなります。
そこにはもう、買うかどうかの思考が入らない。

服は、達成した自分を証明するために持ち帰るものになるのです。

普通なら、お金を払えば誰でも買えるアパレル。
しかしこの施策では、100kgを挙げられる人だけが買えるという条件をつけることで、服が『選ばれた側にいる証』へと変わっています。

着る人は、ただ服を着ているのではありません。
『自分は100kgを挙げられる側の人間だ』という事実を、さりげなく他人に示している。

そこには、努力を認められたい気持ち、分かる人には分かってほしい欲、買えない人より少し上に立ちたい優越感のような、人間のドロドロした感情があります。

この事例は、商品を売ったのではなく、商品を『達成の証明』に変えた。
だからこそ、マーケティングの面白さが詰まっているのです。

https://www.instagram.com/shiden_iron.fit?igsh=MWp6emhta2QxZ2R5cg==

TRY THIS JUMP

このクリエイティブジャンプを転用するなら

事例の表面ではなく、人を動かした仕組みを自分の仕事に置き換えてみます。

商品に語らせ、買う思考が入らない瞬間に置く

この事例を転用するときに考えるべきなのは、
『限定グッズを作ろう』ではありません。

PRΣSSの面白さは、服そのものが主役商品であることです。
おまけのステッカーでも、記念カードでもない。
本来売りたいアパレルそのものを、100kgを挙げた直後に差し出している。

だから、買うかどうかの思考が入らない。

商品が、本人の言いにくい自慢を代弁してくれる。
しかも、その自慢が一番熱くなっている瞬間に買える。

この2つが重なっていることが重要です。

その日にだけ買える型

たとえばスイミングスクールなら、
子どもが初めて25mを泳ぎ切った日だけ買える、日付入りのスイムタオル。

それはただのタオルではありません。
『うちの子が初めて25mを泳げた日』を持ち帰るものになります。

あとから普通に売られていたら、買うかどうかを考える。
でも、子どもが息を切らしながら泳ぎ切り、コーチに褒められ、本人も少し誇らしそうにしているその日にだけ買えるなら、意味が変わります。

親にとっては、
『この日を残しておきたい』
という感情の出口になる。

音楽教室なら、
初めて発表会で最後まで弾き切った日にだけ買える、日付と曲名入りの譜面バッグ。

マラソンイベントなら、
完走したその日にだけ買える、日付・距離・タイム入りのフィニッシャージャケット。

どれも、商品そのものよりも、
『今日の自分』
『今日の子ども』
『今日越えたもの』
を持ち帰るための商品になっています。

体験直後に欲しくなる型

もうひとつは、日付ではなく、体験直後の身体や感情に商品を置く型です。

たとえば激辛ラーメン店なら、
辛さMAXを完食した直後にだけ注文できる、真っ白な締めの一杯。

辛さを制した直後、身体はもう刺激ではなく、救いを求めている。
そこに出てくる白い一杯は、ただのメニューではありません。

『自分はあの辛さの向こう側まで行った』という証になります。

サウナ施設なら、
9℃の水風呂をくぐった人だけが、外気浴後に注文できる一杯。

身体が一番それを欲しがっている瞬間に出てくるから、飲むかどうかを考えにくい。
その一杯は、ただのドリンクではなく、
『自分はシングルの水風呂を通った側だ』と静かに語ってくれます。

コーヒー店なら、
ブラインドテイスティングで豆を当てた直後にだけ買える一袋。

正解した直後、人は少しだけ
『自分は味が分かる側だ』
と思いたくなる。

そのタイミングで買える豆は、ただのコーヒー豆ではなく、
自分では言いにくいプライドを代わりに語ってくれる商品になります。

転用するときに大切なこと

大事なのは、日付を入れることでも、限定にすることでもありません。

お客さんの中に、
『これは今の自分だから買う』
『これを持ち帰らないと、この体験が終わらない』
『これを持っていることで、自分がどちら側の人間かを示せる』
という感覚を作れるかどうかです。

商品が、本人の言いにくいプライドを代弁する。
そして、そのプライドが一番熱くなっている瞬間に商品を置く。

この2つが重なると、商品は比較検討されるものではなくなります。

PRΣSSは、服をその状態に変えた事例です。