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2026年3月11日

AIを「脅威」から「遊び場」へ。コカ・コーラが仕掛けた共創型プロモーション

migimi

Creative Jump

「生成AIを業務効率化だけでなく、顧客向けのクリエイティブにどう活かすべきか?」

「AIキャンペーンを企画しても、単なる技術アピールで終わってしまい、ブランドの価値向上に繋がらない」

そんな悩みを抱えるクリエイターやマーケターは少なくありません。

この記事では、生成AIを「ブランドの資産」と掛け合わせ、世界中のユーザーを熱狂的なクリエイターに変えてしまったコカ・コーラの画期的な事例「Create Real Magic」を解説します。

AI時代において、企業がユーザーとどう「共創」していくべきか、その圧倒的なヒントが詰まっています。

【事例の概要】

  • 企業名: The Coca-Cola Company(コカ・コーラ)
  • プロジェクト名: Create Real Magic(クリエイト・リアル・マジック)
  • 時期: 2023年〜2025年にかけて継続・進化
  • 概要:

コカ・コーラはOpenAI(ChatGPTおよびDALL-E)と提携し、独自のAIプラットフォーム「Create Real Magic」を一般公開しました。このサイトでは、コカ・コーラの象徴的なボトル形状やロゴ、サンタクロース、白くまなどの「ブランドの歴史的アセット」を自由に組み合わせて、ユーザー自身がプロンプト(指示文)を入力し、オリジナルのデジタルアートを生成できます。優秀な作品はニューヨークのタイムズスクエアやロンドンのピカデリーサーカスの巨大デジタルビルボードに実際に掲出されるという特典付きで、世界中から爆発的な参加とUGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出しました。

【ここがスゴイ!3つのポイント】

1. 「ブランド資産」×「AI」の完璧な融合(マーケティング視点)

なんでも自由に作れるAIプラットフォームにするのではなく、「コカ・コーラのブランド素材(アセット)を必ず使う」という制約を設けた点が秀逸です。どれだけカオスな画像が生成されても、必ず真ん中にはコカ・コーラのボトルがあるため、100%ブランドの広告として成立します。AIの暴走を防ぎつつ、強力なPR効果を担保する見事な設計です。

2. クリエイティビティの「民主化」(ユーザー体験視点)

プロのデザイナーでなくても、テキストを打ち込むだけで一瞬にしてハイクオリティなアートが完成します。「自分にもこんなすごいアートが作れる!」という自己肯定感と感動(魔法のような体験)を提供することで、AIを単なる便利ツールから「エンターテインメント体験」へと昇華させました。

3. 「承認欲求」を最大化する出口戦略(PR視点)

「作って終わり」ではなく、優秀な作品が「タイムズスクエアの看板に載る」という圧倒的なご褒美(出口)を用意したことが、キャンペーンの熱狂に火をつけました。ユーザーの「誰かに見せたい・認められたい」という究極の承認欲求を刺激し、SNSでの自主的なシェアや作品のバイラルを構造的に生み出しています。

【実践への応用(Takeaway)】

この事例から学べるのは、「あえて制約(ブランドの型)を設けた上で、ユーザーにAIという魔法の杖を渡す」という思考法です。

■ 明日から試せる具体的なアクションプラン

    * **自社の「遊べるアセット」を切り出す**

    自社のロゴ、商品のシルエット、キャラクターなど、「どんなに加工されても自社だとわかる要素」を定義してください。それをベースに、「〇〇(自社アセット)を使った大喜利大会」や「AIイラストコンテスト」を企画します。
    * **ユーザーに「素材」と「舞台」を提供する**

    完成されたクリエイティブを配信するのではなく、ユーザーがAI(または写真加工アプリ等のツール)を使って遊ぶための「素材」と、それを発表する「舞台(ハッシュタグや、店舗での展示、サイトでの紹介など)」をセットで用意する「プラットフォーマー」視点を持ってプロモーションを組み立てましょう。

【まとめ】

コカ・コーラの「Create Real Magic」は、AIがクリエイターの敵ではないことを証明し、むしろ人間の内なる創造力を爆発させる「最高のパートナー」であることを示しました。

企業からの「一方的なメッセージの発信」から、ユーザーとの「遊び場の共創」へ。AIを活用した全く新しいマーケティングの形として、ぜひあなたのプロジェクトにも取り入れてみてください。

Written By

migimi

株式会社クリエイティブジャンプのメンバー。マーケティングとクリエイティブの最前線で活動しています。