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BtoBブランディングは「認知」だけでは足りない。距離マーケティングで読み解く第一想起のつくり方

migimi

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BtoBブランディングは「認知」だけでは足りない。距離マーケティングで読み解く第一想起のつくり方

最近、BtoBマーケティングの文脈で「第一想起」という言葉をよく見かけます。

たしかに、とても大事な視点だと思います。

何か課題が生まれたとき。
比較検討が始まったとき。
社内で「どこに相談する?」となったとき。

その瞬間に、最初に思い浮かぶ会社になれているかどうか。

これはBtoBではかなり大きいです。

ただ、私はこの第一想起という話を見たときに、しっくりくる一方で、少しだけ違和感もありました。

というのも、第一想起の話が、ときどき
「どれだけ認知を取るか」
「どれだけ露出を増やすか」
に寄りすぎて語られることがあるからです。

もちろん、露出は大事です。
でもBtoBでは、露出だけで第一想起には入りません。

名前を知っている。
でも、何の会社かは曖昧。
見たことはある。
でも、自分たちの課題と結びついていない。
候補には入る。
でも、最後に選ばれない。

こういうことは普通に起こります。

だから私は、第一想起を考えるときこそ、
距離マーケティングで見た方が整理しやすい
と思っています。


第一想起は、認知の量ではなく「距離がつながった結果」だと思う

距離マーケティングでは、顧客との接点を

  • 遠距離
  • 中距離
  • 近距離

の3つで整理して考えます。

この考え方でBtoBブランディングを見ると、第一想起は単に「遠距離が強い状態」ではありません。

むしろ、

遠距離で知ってもらい、
中距離で意味づけされ、
近距離で信頼が深まり、
その結果として、必要な瞬間に思い出される。

この流れの先に生まれるものだと思っています。

つまり第一想起は、認知の勝負というより、
距離の違う接点がちゃんとつながっている状態
として見る方が、本質に近い気がしています。


遠距離は、「とにかく知られる」ためだけのものではない

まず遠距離です。

距離マーケティングでいう遠距離は、SNS、広告、PR、記事発信など、まだ自社と関係の遠い相手に届く接点です。

ここでの役割は、広く知ってもらうこと。
これはその通りです。

でもBtoBで大事なのは、単に広く知られることではありません。
何の会社として知られるかです。

たとえば、

  • 何をしている会社なのか
  • どんな課題に強いのか
  • どんな考え方を持っているのか

これが曖昧なまま露出だけ増えても、名前だけが流れて終わります。

それでは第一想起には入りません。

BtoBで遠距離が果たすべき役割は、
「このテーマの会社」として見つけてもらうこと
だと思っています。

さらに遠距離は、その先の近距離にも効きます。

記事を読んでいた。
考え方を見ていた。
メディア掲載を見ていた。
発信が続いていた。

そういう遠距離の接点は、商談や提案資料やサイトを見たときの安心感にもつながります。

だから遠距離は、
ただ認知を増やすためのものではなく、
知ってもらい、会ったときに強くなるためのもの
として見る方が自然です。


第一想起に一番効くのは、中距離だと思っている

第一想起の話になると、遠距離ばかりが注目されがちです。

でも私は、BtoBで第一想起に一番効くのは、実は中距離だと思っています。

距離マーケティングでいう中距離は、まだ直接の深い接点はないけれど、商圏や生活圏の中で届く接点です。

実店舗でいえば、地域チラシ、看板、ポスティング、地域イベント、近隣とのつながりなどがここに入ります。

役割は、地域の中で
「あのお店ね」
と思ってもらうことです。

これをBtoBにそのまま持ち込むことはできません。
でも、かなりきれいに読み替えられます。

BtoBにおける中距離は、
業界の中、課題の文脈の中、比較検討の場の中で意味づけされる接点
だと考えると分かりやすいです。

たとえば、

  • 何の会社なのかが分かる記事
  • どんな課題に強いかが分かる事例
  • 独自の考え方や視点の継続発信
  • 業界内で繰り返し見かける状態
  • 「このテーマならこの会社」と思える文脈づくり

こうしたものは、全部中距離です。

実店舗での中距離が「知っている店になる」ことなら、
BtoBでの中距離は
「知っている会社」ではなく、「この課題の会社として頭の中に棚ができている状態」をつくること
だと思っています。

第一想起は、露出量だけで起きるわけではありません。

相手の頭の中に、

「この文脈なら、あの会社」
「この課題なら、まずあそこ」

という結びつきが育ったときに起きる。

その意味で、第一想起は
中距離での意味づけが育った結果
として生まれるものだと思います。


近距離は、商談の後ではなく「真面目に見始めた瞬間」から始まっている

近距離マーケティングは、すでに接点がある人、あるいはかなり近いところまで来ている人との関係を深める考え方です。

ここで大事なのは、近距離を「契約直前の話」だけにしないことです。

BtoBだと、近距離というとつい

  • 商談中
  • 提案後
  • 稟議中
  • クロージング前

あたりをイメージしがちです。

でも本当はもっと前から始まっていると思っています。

たとえば、

  • 指名検索してサイトを見たとき
  • 事例ページを読んだとき
  • 資料請求ページを開いたとき
  • 問い合わせ前にFAQを見たとき
  • 初回打ち合わせで提案資料に触れたとき

このあたりは、もう十分近距離です。

つまりBtoBにおける近距離は、
「この会社を少し真面目に見始めた瞬間」から始まっている
と考えた方が自然です。

ここで何が起きるかは、とても大きいです。

  • 提案がわかりやすい
  • 実績に納得できる
  • 考え方に一貫性がある
  • サイトで不安が減る
  • 問い合わせ後の体験が安心できる
  • 比較の場で説明しやすい

こうした状態がつくれていないと、せっかく遠距離や中距離で思い出されても、最後に選ばれません。

だから第一想起を考えるときも、
「思い出されるか」だけでは足りない。
思い出されたあとに、ちゃんと選ばれる状態まで設計できているか
まで見た方がいいと思っています。


第一想起に入るには、距離ごとの役割をつなげることが大事

ここまでをまとめると、第一想起に入るために本当に大事なのは、単に露出を増やすことではありません。

大事なのは、
遠距離・中距離・近距離が、それぞれ正しい役割でつながっていること
です。

遠距離では、
「このテーマの会社」として見つけてもらう。

中距離では、
「この課題ならこの会社」と意味づけされる。

近距離では、
「この会社なら大丈夫そうだ」と信頼される。

この流れができて、はじめて第一想起は強くなっていきます。

もし遠距離だけ強ければ、名前は知られるかもしれません。
でも意味が残らない。

中距離が弱ければ、知ってはいるけど思い出されない。
あるいは、思い出されても文脈が弱い。

近距離が弱ければ、候補には入るけど最後に選ばれない。

だから第一想起に入りたいなら、見るべきなのは
「もっと露出を増やすべきか」
だけではありません。

  • 遠距離で、何の会社として知られているか
  • 中距離で、その文脈が頭の中に定着しているか
  • 近距離で、選ばれる手前の不安を消せているか

この3つを見た方が、ずっと実務的です。


BtoBブランディングを距離で見ると、やることが整理される

距離マーケティングでBtoBブランディングを見ると、やることはかなり整理されます。

そもそも知られていないなら、遠距離が弱い。
名前は知られているが、何の会社かわからないなら、中距離が弱い。
候補には入るが選ばれないなら、近距離が弱い。

こうして見ると、ブランディングは単なる露出の話ではありません。
どの距離で詰まり、どの距離を整えるべきかを見る設計の話になります。

これは、第一想起を「なんとなく欲しい状態」として語るより、かなり前に進みやすい見方だと思っています。

第一想起に入りたい。
では、そのために何をするのか。

その問いに対して、
「もっと発信しよう」
だけで終わらず、
「今どの距離が弱いのか」
から考えられるようになるからです。


認知を取ることと、第一想起に入ることは違う

最後に、この記事で一番言いたいことを一文にするとこれです。

認知を取ることと、第一想起に入ることは同じではない。

遠距離で知ってもらう。
中距離で意味づけされる。
近距離で信頼を取り切る。

BtoBブランディングは、この流れをどう設計するかです。

第一想起は、「たくさん見られた結果」というより、
距離の異なる接点がうまくつながった先に生まれるもの
だと思っています。

だからこそ、第一想起を本気で取りにいくなら、
認知施策だけを見るのではなく、
遠距離・中距離・近距離をどうつなぐかを見ることが大事です。

それが、BtoBブランディングを距離マーケティングで考える意味だと思っています。

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株式会社クリエイティブジャンプのメンバー。マーケティングとクリエイティブの最前線で活動しています。

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