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「距離マーケティング」リソース配分戦略。予算と時間をどこにかけるべきか

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「距離マーケティング」リソース配分戦略。予算と時間をどこにかけるべきか

全部はできない。だから中小企業のマーケティングは「距離」で配分した方がいい

広告も打つ。
SNSも頑張る。
PRもやる。
LINEも整える。
チラシも撒く。
ホームページも磨く。
動画もつくる。

本当は全部やれたらいい。
でも、現実はそんなに甘くないです。

予算も限られている。
人手も限られている。
時間も限られている。

だから多くの中小企業は悩みます。

Instagramもやった方がいい気がする。
広告も必要な気がする。
LINEもやらないといけない気がする。
チラシも撒いた方がいいかもしれない。

そうして気づくと、全部を少しずつ触って、全部が中途半端になる。

私は、ここにかなり大きな落とし穴があると思っています。

中小企業のマーケティングに必要なのは、
「SNSに何割、広告に何割、LINEに何割」
みたいな施策ベースの分配ではありません。

そうではなくて、

今、自分たちはどの距離の接点を整えるべきなのか。

これを見極めて、そこに予算と時間を集中させること。
それが、中小企業にとっての本当の意味での理想の配分だと思っています。

距離マーケティングで考えると、リソース配分はかなりシンプルになります。

まずは近距離に全振りする。ここが一番大事

多くの中小企業がやってしまいがちなのは、マーケティングを始めようとしたときに、最初から遠距離にリソースを使ってしまうことです。

広告を出す。
SNSを頑張る。
とにかく認知を広げる。
新規を増やす。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。
でも、受け皿がないまま遠くに届けても、集客は積み上がりません。

せっかく来てくれた。
せっかく知ってくれた。
せっかく興味を持ってくれた。

でも、その人とつながり続ける仕組みがない。

これでは、一回きりで終わってしまうことが多い。

私は、ここが本当にもったいないと思っています。

だから最初の段階では、遠距離への予算や時間を抑えて、まずは近距離の仕組みづくりにリソースを集中させるべきです。

近距離マーケティングとは、来てくれた人とつながり続けるための設計です。

LINE公式アカウントを整える。
初回クーポンをつくる。
リッチメニューを整理する。
登録する意味が伝わる状態にする。
店頭で自然に案内できるようにする。
ホームページや店頭看板を、受け皿として機能する状態にする。

中小企業が最初に全力で整えるべきなのは、ここです。

広告を打つ前に。
SNSを頑張る前に。
まず、来てくれた人との関係が積み上がる設計をつくる。

ここに時間を使う。
ここに予算を使う。
ここが最初の勝負どころだと思っています。

近距離に必要なのは、単なるツール導入ではない

ここで誤解されやすいのが、近距離マーケを「LINEを作れば終わり」と思ってしまうことです。

でも本当は、そうではありません。

大事なのは、お客さんが「今ここで登録したい」と思える理由をつくることと、登録し続ける意味を感じてもらうことです。

実際、私たちが出した調査でも、過去3カ月以内に飲食店のLINE公式アカウントを友だち追加した人は1,000人中208人、つまり20.8%にとどまりました。
一方で、登録した人のうち
85.4%が、LINE配信やクーポンをきっかけに来店・注文した経験があると答えています。つまり、LINEの課題は「効果が弱いこと」ではなく、最初の登録の壁をどう越えるかにある、ということです。 

さらに、登録後の運用にもかなり大きな示唆がありました。
高所得層ほど再来店効果は高い一方で、「同じような内容ばかり届く」ことには厳しい。
友だち追加の決め手は、女性では「その場で使える割引クーポン」が強く、男性では「無料トッピングやサイズアップなどの体験向上型特典」が響きやすい。
また、登録後に求める価値にも差があり、女性はクーポン反応が強く、男性は「登録したメリットを感じない」とブロックしやすい傾向が見えました。30代は登録しやすく、40代は登録後の来店効果が特に高いという違いも出ています。

これって、かなり重要だと思っています。

ただLINEを開設すればいいわけじゃない。
ただQRコードを置けばいいわけでもない。
ただ配信すればいいわけでもない。

大事なのは、

  • なぜ今、登録するのか
  • 登録すると何が得られるのか
  • 登録後も、入っていてよかったと思えるか
  • 誰に、どんな価値を、どう見せるのか

ここまで含めて設計することです。

つまり近距離マーケに必要なのは、単なるツール導入ではなく、接点の体験設計そのものなんです。

LINEの初期構築。
クーポン設計。
リッチメニューの整理。
登録導線の見直し。
スタッフの案内トーク。
店頭看板の文言。
ホームページの導線。

こうしたもの全部が、近距離マーケの設計に入ってくる。

ここを適当にしたまま遠距離にお金をかけても、やっぱり積み上がらない。
だから最初は、近距離にかなり偏った配分でいい。
むしろ、それくらいでちょうどいいと思っています。

次に投資すべきは中距離。お金より、時間と泥臭さ

近距離の受け皿が整ってきたら、次に見直したいのが中距離です。

ここで大事なのは、中距離は広告費で一気に解決するものではない、ということです。

地域の中で知られている。
なんとなく見たことがある。
近所の人が知っている。
他のお店や地域の文脈とつながっている。

この強さは、多額の広告費で作られるものではありません。

中距離マーケで求められるのは、
予算よりも、時間と手間と泥臭さです。

地域への挨拶回り。
周辺店舗との関係づくり。
ポスティング。
ビラ配り。
地域イベントへの参加。
商圏の中で顔を出すこと。

こういう活動は、正直かなり地味です。
すぐに数字にならないことも多い。
だから後回しにされがちです。

でも、私はここがめちゃくちゃ大事だと思っています。

なぜなら、中距離は近距離の反応率を上げる土壌になるからです。

まったく知らない店より、見たことがある店。
聞いたことがある店。
感じが良さそうな店。
いつか行ってみたいなと思える店。

そういうお店の方が、来店もしやすいし、LINE登録もしやすい。

つまり中距離マーケは、直接売上を取るための施策というより、
売れやすい状態を地域の中につくっていく活動なんです。

これは、お金だけでは買えません。
時間をかけるしかない。
泥臭く積み上げるしかない。

だから中距離には、予算というより、継続的な時間投資を配分するのが理想だと思っています。

遠距離は、最後にやる。しかも「何のためにやるか」を絞る

近距離と中距離の土台ができて、ようやく遠距離にリソースを使う段階に入ります。

ここで大事なのは、遠距離を「ただ広く知られるため」にやらないことです。

中小企業が遠距離に多額の予算を垂れ流すのは、かなり危険です。
なぜなら、広く知ってもらうだけでは売上につながらないことが多いからです。

遠距離にリソースを使うなら、使い方はかなり絞った方がいい。
私は、基本的には近距離の信頼を補強するために使うのが理想だと思っています。

たとえば、プレスリリースを出す。
調査を発表する。
メディアに載る。
記事を書く。
発信を続ける。

こうして得た遠距離の成果を、商談で使う。
提案資料で使う。
ホームページで使う。
「ちゃんとしている会社」「考えがある会社」として見せる材料にする。

SNSも、ただフォロワーを増やすためだけにやる必要はありません。
どんな店なのか。
どんな人がやっているのか。
どんなこだわりがあるのか。
どういう空気感なのか。

それを事前に知ってもらえているだけで、店頭での会話も、LINE登録の案内も、クーポンの反応も変わってきます。

つまりSNSは、遠くの人に広く届けるためだけではなく、近距離に入ってきたときの反応率を上げるための下地 にもなるんです。

つまり遠距離を、遠くの人を集めるためだけではなく、
会ったときに強くなるための武器として使う

これが、中小企業にとってかなり賢い遠距離の使い方だと思っています。

理想の配分は「割合」ではなく「順番」で決まる

中小企業のリソース配分を考えるとき、
「近距離30%、中距離30%、遠距離40%」
みたいな固定の割合で考えたくなることがあります。

でも私は、そうではないと思っています。

本当に大事なのは、割合ではなく順番です。

まずは近距離。
来てくれた人とつながり続ける仕組みを整える。

次に中距離。
地域の中で知られる存在になり、近距離の反応率を上げる土壌をつくる。

そして最後に遠距離。
近距離を強くする武器として使う。

この順番がすごく大事です。

中小企業は、資源が限られているからこそ、
全部を均等にやるのではなく、
今どの距離を整えるべきなのかを見極めて、そこに集中する。

それが一番合理的で、一番強い配分だと思っています。

まとめ。中小企業の理想の配分は「今、何に寄せるか」を決めること

中小企業のマーケティングは、全部やろうとすると弱くなります。

広告も。
SNSも。
PRも。
LINEも。
チラシも。
全部大事です。

でも、全部を同時に強くやることはできない。

だからこそ必要なのは、施策の名前で考えることではなく、距離で考えることです。

今は近距離を整えるべきなのか。
中距離に時間を投じるべきなのか。
遠距離を武器として使う段階なのか。

この判断ができるだけで、リソース配分はかなり変わります。

私は、中小企業にとって一番賢い戦略は、
「全部を少しずつやること」ではなく、
今いちばん整えるべき距離に、思い切って寄せること
だと思っています。

近距離から始める。
中距離を積み上げる。
遠距離は絞って使う。

この順番でリソースを投下していくことが、限られた予算と時間で最大の循環を生み出す、いちばん強い戦い方なんじゃないかと思っています。

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株式会社クリエイティブジャンプのメンバー。マーケティングとクリエイティブの最前線で活動しています。

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