中距離マーケティング実践編。地域で「知っている店」になる最高の活動

遠距離マーケは目立ちます。
SNSの発信や広告は、やっぱりわかりやすい。
数字も見えるし、反応も追いやすい。
「これだけ見られた」「これだけクリックされた」と結果が可視化されるので、やっている実感も持ちやすいです。
一方で、近距離マーケには手応えがあります。
目の前でお客さんが笑顔になってくれる。
LINEに登録してくれる。
また来てくれる。
クーポンを使ってくれる。
配信に反応してくれる。
現場で「効いている」が感じられるのが、近距離の強さです。
だから、多くのお店や会社は、目立ちやすい遠距離か、手応えのある近距離に意識が向きやすいのだと思います。
でも、その間にある中距離マーケは、どうしても後回しにされがちです。
派手ではない。
すぐ数字にもなりにくい。
やっている感も出しづらい。
でも私は、実店舗や地域商売において、この中距離こそかなり大事だと思っています。
なぜなら、中距離マーケティングは、地域の中で「知っている店」になるための活動だからです。
まったく知らない店より、なんとなく見たことがある店。
聞いたことがある店。
感じが良さそうだと思える店。
なんか気になる店。
いつか行ってみたいな、と思える店。
そういうお店の方が、人は圧倒的に入りやすい。
私は、この「なんとなく知っている」をつくることが、地域商売ではものすごく効くと思っています。
中距離マーケティングとは何か
距離マーケティングの中で、中距離マーケティングは、まだお客さんではないけれど、商圏や生活圏の中にいる人との距離を縮める活動です。
近距離マーケのように、すでに接点がある人との関係を深めるものではない。
遠距離マーケのように、広く知らない人へ一気に届けるものでもない。
その間にあるのが中距離です。
生活圏の中で見かける。
どこかで名前を聞く。
別のお店を通じて存在を知る。
地域の中で「あ、あのお店ね」と思ってもらえる。
こういう小さな接点は、一つひとつは大きくないかもしれません。
でも、その積み重ねが「知らない店」を「知っている店」に変えていきます。
そして、実はこの差って、めちゃくちゃ大きい。
人は、ゼロから好きになるより、
「なんとなく知っている」から一歩進む方がずっと動きやすいからです。
中距離マーケは、たぶん一番泥臭い
中距離マーケは、かなり泥臭いです。
地域に挨拶に行く。
周辺のお店や事業者に顔を出す。
ポスティングをする。
ビラを配る。
地域の中で少しずつ接点をつくる。
どれも派手ではありません。
むしろ、いまの時代には少し古くさく見えるかもしれない。
効率だけで見たら、もっとスマートなやり方がありそうにも見える。
でも、私はそこがむしろ大事だと思っています。
なぜなら、泥臭いことは、だいたい競合がやらないからです。
みんな、やっぱり見えやすいものに行きます。
説明しやすいものに行きます。
レポートが出しやすいものに行きます。
でも、地域で顔を出すとか、挨拶に回るとか、近所との関係をつくるとか、そういうことは手間がかかるし、地味だし、すぐ成果にも見えにくい。
だからこそ、ちゃんとやると差になります。
しかもこの差は、あとから効いてくる。
じわじわ効いて、でも長く残る。
私は中距離マーケの強さって、そこにあると思っています。
長く続くお店を見ると、中距離が強い
10年続くお店。
20年続くお店。
地域で「あそこ、ずっとあるよね」と言われるお店。
そういうお店って、必ずしも派手な広告を打っているわけではありません。
SNSを毎日頑張っているわけでもない。
でも、ちゃんと地域の中に存在しています。
近所の人が知っている。
なんとなく見たことがある。
あのお店ね、と思い出せる。
地域の他のお店や場所、人とのつながりがある。
この積み重ねがあるお店は、やっぱり強いです。
実店舗や地域商売は、ただ商品が良いだけでは続きません。
もちろん商品やサービスの力は大前提です。
でもそれだけではなく、地域の中でどう存在しているか、どう思い出されるか、どう語られるかが、長く続く力になっていく。
だからこそ私は泥臭くても大変でも「中距離マーケ」を大事にしてほしいと考えています。
いちばん強いのは、地域の挨拶回りだと思う
中距離マーケの中でも、私は地域の挨拶回りがものすごく強いと思っています。
これは単なる営業ではありません。
「うちを使ってください」と押し込むことが目的ではなく、まず地域の中で存在を知ってもらうことに意味があります。
新しくお店を始めたとき。
新しい取り組みを始めたとき。
何か動き出すタイミングで、周辺のお店や事業者に一言挨拶をしておく。
たったそれだけ、と言えばそれだけです。
でも、この「たったそれだけ」をやるお店は、意外と多くありません。
だから効くんだと思います。
どんな人がやっているのか。
どんなお店なのか。
どんな思いがあるのか。
どんな雰囲気なのか。
そういうものは、SNSやホームページだけでは伝わりきらないことがあります。
でも、実際に顔を見せて、言葉を交わして、知ってもらう。
それだけで、地域の中での立ち位置は少し変わります。
「知らない店」ではなくなる。
これが大きい。
中距離マーケで一番大事なのは、ここなんじゃないかと思っています。
政治家の辻立ちや地域まわりのように、まず顔を見せて、存在を知ってもらう。
中距離マーケには、少しそれに近い感覚があります。
いきなり好きになってもらわなくていい。
いきなり来てもらわなくていい。
まずは知ってもらう。
「ああ、あのお店ね」と思ってもらう。
そこからすべてが始まる。
挨拶回りは、その先の広がりにもつながる
挨拶回りの強さは、その場の印象づくりだけでは終わりません。
地域の中で関係ができると、その先の広がりが生まれます。
話題にしてもらえる。
紹介してもらえる。
気にかけてもらえる。
「今度こんなこと一緒にできそうですね」と話がつながることもある。
つまり、挨拶回りは単なる最初の礼儀ではなく、地域の中で関係が始まる入口でもあるんです。
ここがすごく大事だと思っています。
最初から「コラボしましょう」と行くのは、たぶん少し違う。
でも、まず知ってもらって、信頼してもらって、いい印象を持ってもらう。
その積み重ねの先に、「一緒に何かできそうですね」が生まれる。
中距離マーケって、そういうものだと思うんです。
ポスティングやビラ配りも、まだまだ強い
ポスティングやビラ配りも、今でも十分強いと思っています。
もちろん、ただ大量に配ればいいわけではありません。
大事なのは、誰に届けたいのか と どの生活圏に存在を置きたいのか が見えていることです。
中距離マーケとしてのポスティングやビラ配りは、単に情報を配るための行為ではありません。
地域の中に、「こういうお店がある」「こういう人たちがやっている」という存在を置く活動でもあります。
一回で反応が取れなくてもいい。
その場で来店につながらなくてもいい。
でも、
どこかで見たことがある。
前にも見かけた。
近所で配っていた。
なんか名前を覚えている。
そういう記憶は、確実に残ります。
ここで思い出すのが、いわゆるセブンヒッツ理論(7回接触の法則)です。
もちろん、きれいに7回で必ず反応するという話ではありません。
でも、人は何度か接触することで印象が残り、心理的な距離が縮まりやすくなる。
これは感覚として、すごくあると思っています。
特に地域商売では、この見覚えの蓄積が本当に効く。
一発で仕留めるというより、少しずつ「知っている」に変えていく。
その積み上げが、ある日ふっと来店や問い合わせにつながる。
私は、そこに中距離の強さがあると思っています。
西永福JAMとの事例も、最初は挨拶回りから始まった
西永福JAMとケバブ店の事例も、まさにそうでした。
最初のきっかけは、西永福JAMの店長さんにオープンの挨拶に行ったことでした。
その際に無料券をお渡しして、実際にケバブを食べてもらいました。
こちらとしては味にはかなりこだわりがあったので、まずはちゃんと体験してもらうことが大事だと思っていました。
その結果、気に入っていただき、西永福JAMのXでケバブ店のことを拡散してくださり、そこから出演アーティストの方々がケバブを食べに来てくれるようになりました。
さらに、コラボポスターを貼らせてもらい、来場者にLINE公式アカウントの登録導線とコラボクーポンを届けることもできました。
でも、ここで大事なのは、最初から「コラボを取りにいった」わけではないことです。
まずは挨拶に行った。
知ってもらった。
食べてもらった。
気に入ってもらった。
そこから信頼が生まれて、結果として広がっていった。
つまりこれは、挨拶回りという中距離マーケが、その先のコラボや来店やLINE登録につながった事例なんだと思っています。
コラボは確かに強い。
でも、その前にもっと強いのは、挨拶に行くこと。
私はそう思っています。
中距離マーケは、近距離マーケを強くする
中距離マーケは、それ自体で完結するものではありません。
むしろ、近距離マーケを強くする土台になるものだと思っています。
地域の中で見たことがある。
なんとなく知っている。
感じが良さそうだと思っている。
いつか行ってみたいと思っている。
そういう状態があると、来店のしやすさが変わります。
店頭での印象も変わるし、LINE登録やキャンペーンへの反応も変わってくる。
同じ近距離施策でも、中距離の下地があるかどうかで効き方が違います。
つまり中距離マーケは、直接売上をつくるだけのものではなく、近距離の反応率を上げるための土壌でもあるんです。
ここが、ものすごく大事だと思っています。
中距離マーケは、地味。でも、強い
中距離マーケは、派手ではありません。
すぐにバズるわけでもないし、広告のように数字がきれいに見えるわけでもない。
だから、どうしても軽視されやすい。
でも、地域の中で「知っている店」になることには、確かな強さがあります。
挨拶回り。
ポスティング。
ビラ配り。
地域の中で顔を出すこと。
存在を置くこと。
少しずつ関係をつくること。
こうした泥臭い活動は、効率だけで見ると遠回りに見えるかもしれません。
でも、長く続くお店や地域に根づく商売は、こういう中距離の積み上げが強いことが多い気がします。
中距離マーケは目立たない。
でも、だからこそやる人が少ない。
そして、少ないからこそ差になる。
派手ではない。
でも、強い。
私は、中距離マーケってそういうものだと思っています。


