「また行こう」はどこで生まれるのか。調査結果から見えた実店舗集客と距離マーケティング

実店舗の集客では、SNSや広告をどう活用するかがよく語られます。
Instagramを更新する。
TikTokに投稿する。
広告を配信する。
Googleマップを整える。
もちろん、これらは店舗を知ってもらううえで重要な施策です。
一方で、実店舗にとって本当に大切な問いは、もう一つあります。
お客様は、どこで「また行こう」と思っているのか。
クリエイティブジャンプが実施した「実店舗の来店・購入のきっかけに関する調査」では、SNS投稿を見て再来店を思い出す人よりも、来店中の体験、来店直後の満足感、店の近くを通った時の生活動線の中で「また行こう」と思う人が多いことが見えてきました。
この記事では、調査結果をもとに、実店舗集客を「施策名」ではなく「顧客との距離」で捉える、距離マーケティングの考え方を整理します。
「SNSで見ればまた来る」は本当か
店舗集客において、SNSはとてもわかりやすい施策です。
投稿すれば見える。
フォロワー数が増えれば成果が出ているように感じる。
写真や動画が伸びれば、お店の認知が広がっているように見える。
しかし、再来店という観点で見ると、SNSだけでは説明しきれない部分があります。
今回の調査では、「そのお店にまた行こうと思ったのは、いつに最も近いですか」と聞いたところ、「後日、SNS投稿を見て思った」と答えた人は2.2%にとどまりました。
一方で、
初回来店中にすでに思った。
来店直後に思った。
後日、店の近くを通って思った。
この3つを合わせると55.3%でした。
つまり、「また行こう」という気持ちは、画面の中の投稿だけで生まれているわけではありません。
むしろ、来店中の体験、食べ終わった直後の満足感、日常の中で店の前を通った時の記憶など、より近い接点の中で生まれている可能性があります。
初回来店も、生活圏の中で生まれている
再来店だけではありません。
今回の調査では、初めてその店舗を知ったきっかけとして、最も多かったのは「通りがかり」でした。
次いで、家族・友人の紹介、看板・店頭が続いています。
これは、実店舗がWeb上だけで選ばれているわけではないことを示しています。
通勤中に前を通る。
買い物の途中で看板が目に入る。
家族や友人から「あそこよかったよ」と聞く。
近くにあることを何度も見て、少しずつ記憶に残る。
こうした生活圏の中の接点は、SNSや広告ほど派手ではありません。
しかし、実店舗にとっては非常に強い接点です。
なぜなら、お客様が実際に来店できる距離の中で、お店を思い出すきっかけになっているからです。
実店舗集客は「遠くに届ける」だけでは足りない
SNSや広告は、まだ店舗を知らない人に届けるうえで重要です。
クリエイティブジャンプでは、こうした接点を「遠距離マーケティング」と捉えています。
遠距離マーケティングは、認知を広げるための接点です。
たとえば、SNS、広告、PR、メディア掲載、記事発信などが含まれます。
ただし、遠くに届けるだけでは、再来店までは設計できません。
知ってもらうことと、また来てもらうことは違います。
実店舗では、遠くに届けた後に、生活圏の中で見つけてもらい、来店中・来店後の接点で関係を深めていく必要があります。
つまり、実店舗集客では、
遠距離で知ってもらう。
中距離で見つけてもらう。
近距離で思い出してもらう。
この流れを設計することが重要です。
再来店の種は、来店中にある
今回の調査で特に重要なのは、「また行こう」と思う瞬間が、来店中や来店直後に多く存在していることです。
これは、店舗側から見ると大きなチャンスです。
なぜなら、お客様が最もお店に対して前向きになっている瞬間は、実際に来店している時、あるいは来店直後だからです。
おいしかった。
雰囲気がよかった。
接客がよかった。
また使いたいと思った。
誰かに紹介したいと思った。
この瞬間に、次につながる導線があるかどうか。
そこが再来店設計の分かれ目になります。
LINE公式アカウント。
ポイントカード。
次回特典。
限定メニューの案内。
スタッフからのひと言。
店頭POP。
レシートやショップカード。
これらは単なる販促物ではありません。
「また行こう」と思った気持ちを、次の行動につなげるための近距離接点です。
しかし、再来店導線が設計されていない店舗も多い
一方で、今回の調査では、初回来店時に再来店につながる案内や仕掛けが「特になかった」と答えた人が35.8%いました。
また、初回来店時に、会員登録・LINE追加・ポイントカード受け取りなどを「特に何もしていない」と答えた人も58.2%でした。
これは、再来店の種があるにもかかわらず、それを次につなげる仕組みが十分に設計されていない店舗が少なくないことを示しています。
お客様は、来店中や来店直後に「また行こう」と思っている。
しかし、その気持ちを受け止める導線がない。
この状態では、せっかくの満足体験が、その場限りで終わってしまいます。
実店舗集客において重要なのは、新規集客だけではありません。
一度来てくれた人と、どうつながり直すか。
満足した体験を、どう次回の来店理由に変えるか。
生活動線の中で、どう思い出してもらうか。
ここに、近距離マーケティングの重要性があります。
SNSを否定するのではなく、役割を整理する
今回の調査結果は、SNSや広告を否定するものではありません。
SNSは、まだお店を知らない人に届けるうえで重要です。
広告も、認知を広げるために有効です。
ただ、SNSや広告だけで再来店まで設計しようとすると、現場との接続が弱くなることがあります。
遠くに届ける施策を強くするほど、近くで受け止める設計も必要になります。
SNSで知った人が、店頭で迷わず入れるか。
初回来店した人が、次回の来店理由を持てるか。
満足した人が、LINEやポイントカードでつながれるか。
店の前を通った時に、また思い出してもらえるか。
ここまでつながってはじめて、SNSや広告の効果も生きてきます。
実店舗集客に必要なのは、施策を増やすことではありません。
顧客との距離に応じて、接点の役割を整理することです。
今回の調査結果から言えること
今回の調査から見えてきたのは、実店舗の再来店は「投稿を見たから」だけで生まれるものではないということです。
お客様は、来店中の体験でまた来たいと思います。
来店直後の満足感で、もう一度行きたいと感じます。
店の前を通った時に、前回の記憶を思い出します。
そして、その瞬間に次につながる導線があるかどうかが、再来店や常連化を左右します。
実店舗集客は、SNSか、LINEか、広告か、ポスティングかという施策単位だけで考える時代から、顧客との距離ごとに接点を設計する時代へ移りつつあります。
遠くに届ける。
生活圏で見つけてもらう。
来店中・来店後につながる。
そして、また思い出してもらう。
その循環をつくることが、距離マーケティングの役割です。
調査リリース全文はこちら
今回の調査結果をまとめたプレスリリースは、PR TIMESにて公開しています。
詳しい数値や調査概要は、以下のリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000180781.html
まとめ
実店舗集客では、SNSや広告のような遠距離施策も重要です。
しかし、お客様が「また行こう」と思う瞬間は、来店中の体験、来店直後の満足感、店の近くを通る生活動線など、より近い接点の中にあります。
だからこそ、実店舗は「認知を広げること」だけでなく、「来店後にどうつながるか」「生活圏の中でどう思い出してもらうか」まで設計する必要があります。
クリエイティブジャンプは、今後も調査と実践を通じて、実店舗における距離マーケティングのあり方を発信していきます。


