採用と距離マーケティング|近距離・中距離・遠距離で考える採用設計
採用にも『距離』がある
採用について考えるとき、多くの企業はまず求人媒体を思い浮かべます。
求人サイトに掲載する。
人材エージェントに依頼する。
Indeedに求人を出す。
求人広告を掲載する。
もちろん、これらは採用活動に欠かせない施策です。
しかし、
『求人を出しても応募が来ない』
『応募は来るけれど、自社に合う人が少ない』
『面接まで進んでも辞退される』
このような悩みを抱える企業は少なくありません。
こうしたとき、多くの企業は求人票や給与、掲載媒体ばかりを改善しようとします。
しかし、本当に見るべきなのはそこだけでしょうか。
距離マーケティングでは、
『その施策は、誰との距離を縮めるためのものなのか』
という視点で施策を考えます。
この考え方は、顧客だけではありません。
採用にも当てはまります。
採用においても、企業と求職者の間には、近距離・中距離・遠距離があります。
まずは、その距離を整理してみましょう。
採用の近距離・中距離・遠距離とは
遠距離
まだ会社を知らない人。
会社の存在は知っていても、募集していることを知らない人。
転職を考え始めたばかりの人。
こうした人に、
『この会社が募集している』
ことを知ってもらうのが遠距離マーケティングです。
代表的な施策は、
・求人サイト
・Indeed
・人材エージェント
・求人広告
・採用イベント
などです。
まずは求人の存在を知ってもらう。
これが遠距離の役割です。
中距離
会社の存在は知っている。
でも、働く候補には入っていない。
そんな人との距離が中距離です。
例えば、
・以前SNSを見たことがある
・地域では有名
・業界内で名前を聞いたことがある
・社員の知人
・以前応募したことがある
このような人たちです。
ここでは、
『知っている会社』
から、
『働く候補になる会社』
へ変えていくことが重要になります。
近距離
すでに応募を考えている人。
求人を見ている人。
会社名を検索している人。
ホームページを見ている人。
SNSを見ている人。
社員インタビューを読んでいる人。
面接を受けている人。
こうした人が近距離です。
ここでは、
応募するか。
辞退するか。
入社するか。
その判断を支える情報が必要になります。
採用がうまくいかない会社ほど、遠距離だけを見ている
採用がうまくいかないと、
求人媒体を変える。
求人票を書き直す。
給与を上げる。
掲載数を増やす。
こうした改善を行う企業が多くあります。
もちろん必要なことです。
しかし、これらはほとんどが遠距離の施策です。
もし、
ホームページが古い。
SNSが止まっている。
社員の様子が分からない。
面接の印象が悪い。
このような状態なら、
遠距離だけ強くしても採用にはつながりません。
逆に、
ホームページもSNSも素晴らしい。
社員紹介も充実している。
それでも求人を出していなければ、
誰にも見つけてもらえません。
つまり、
遠距離だけでも駄目。
近距離だけでも駄目。
採用は、それぞれの距離が役割を果たして初めて機能します。
求人サイトだけでは採用できない理由
例えば、
求人サイトで会社を知ります。
そのあと、多くの人は何をするでしょうか。
会社名を検索します。
ホームページを見ます。
Instagramを見ます。
TikTokを見ます。
口コミを見ます。
代表者を調べます。
つまり、
求人サイトだけで応募を決める人はほとんどいません。
求人サイトは、
『知るきっかけ』
です。
本当に応募するかどうかは、
その後に見る情報で決まります。
だから、
求人媒体だけ改善しても採用できない会社があるのです。
求職者にとって、ホームページやSNSは近距離になる
ここで前回の記事につながります。
顧客向けに運用しているホームページ。
顧客向けに投稿しているInstagram。
顧客向けのTikTok。
これらは顧客にとっては、
遠距離マーケティングとして使われることがあります。
しかし、
求人サイトを見た求職者にとっては違います。
会社名を検索し、
ホームページを見る。
Instagramを見る。
TikTokを見る。
そこで、
どんな仕事なのか。
どんな人が働いているのか。
どんなお客様と関わっているのか。
どんな考え方の会社なのか。
を確認します。
つまり、
求職者にとっては、
ホームページやSNSは、
応募するかどうかを判断するための近距離マーケティングになります。
同じ発信でも、
顧客にとっては遠距離。
求職者にとっては近距離。
これが前回の記事で紹介した考え方です。
採用は、求人票だけで決まるものではない
採用ページには、
『風通しが良い会社です。』
『挑戦できる環境です。』
『社員を大切にしています。』
このような言葉が並びます。
もちろん、それも大切です。
しかし、
求職者はそれだけでは判断しません。
普段のSNS。
ホームページ。
お客様への向き合い方。
仕事の進め方。
社員の雰囲気。
日頃の発信。
そうした情報を見ながら、
本当にそういう会社なのかを確認しています。
採用ページは宣言です。
普段の発信は証拠です。
だからこそ、
採用専用の発信だけではなく、
日頃の企業活動そのものが採用にも影響します。
採用も距離で考える
距離マーケティングは、
顧客だけの考え方ではありません。
採用にも、
近距離・中距離・遠距離があります。
遠距離では、
求人サイトやエージェントによって、
会社や募集を知ってもらう。
中距離では、
会社のことを継続的に知ってもらい、
働く候補になってもらう。
近距離では、
ホームページやSNS、採用ページ、面接などを通して、
応募や入社を判断してもらう。
この三つは、
どれか一つだけ強ければ良いわけではありません。
遠距離だけ強くても、
近距離が弱ければ応募されません。
近距離だけ整っていても、
遠距離が弱ければ誰にも見つかりません。
採用もまた、
距離ごとに役割が違います。
まとめ
採用活動というと、
求人サイト。
人材エージェント。
求人票。
こうした施策だけを思い浮かべがちです。
しかし、それらは採用全体の一部にすぎません。
採用には、
まだ会社を知らない人へ届ける遠距離。
会社を知っている人との関係を育てる中距離。
応募を判断する人を支える近距離。
それぞれの役割があります。
距離マーケティングで採用を見ると、
『応募が来ない』
という一つの問題も、
どの距離に課題があるのかを整理できるようになります。
そして、
顧客向けのホームページやSNSが、
求職者にとっては近距離マーケティングになることも見えてきます。
採用も、顧客集客も、
本質は同じです。
相手との距離を理解し、
その距離に合った接点を設計する。
それが、距離マーケティングという考え方なのです。