なぜ私はマーケティングを「施策」ではなく「距離」で考えるようになったのか

マーケティングの話をしていると、よく出てくる言葉があります。
SNSをやる。
広告を出す。
LINE公式アカウントを運用する。
チラシをまく。
Googleマップを整える。
プレスリリースを出す。
どれも間違っていないし、実際どれも大事です。
でも、こういう話を聞くたびに、ずっと少しだけ違和感がありました。
なぜなら、施策の名前だけを並べても、結局
「で、何からやればいいの?」
が残ってしまうことが多いからです。
Instagramが必要なのか。
LINEが必要なのか。
広告を打つべきなのか。
ポスティングをやるべきなのか。
この問いに対して、施策ベースで答えようとすると、どうしても話が散らかりやすい。
なぜなら、本当に大事なのは「何をやるか」だけではなく、
その施策が、お客さんとのどの距離の接点をつくるものなのか
だからです。
私は最近、マーケティングを「施策」ではなく「距離」で考えるようになりました。
それは、施策の種類を覚えるよりも、ずっと本質に近い見方だと思っているからです。
施策で考えると、全部が同じ土俵に見えてしまう
たとえば、SNSとLINE公式アカウントは、どちらもマーケティング施策です。
でも、この2つって本当はかなり役割が違います。
SNSは、まだ知らない人や、少し遠いところにいる人に知ってもらうための接点になりやすい。
一方でLINE公式アカウントは、来店した人や、すでに接点を持った人との関係を深める接点になりやすい。
つまり、どちらも「施策」ではあるけれど、
担っている距離が違うんです。
ここを分けずに「SNSも大事」「LINEも大事」と並べてしまうと、全部が同じ土俵に見えてしまう。
すると、
認知を取りたいのか。
再来店を増やしたいのか。
地域の中で存在感をつくりたいのか。
この違いが曖昧になります。
そして、曖昧なまま施策だけ増えていく。
これが、マーケティングが難しく感じられる理由のひとつなんじゃないかと思っています。
中小企業や実店舗ほど、「何をやるか」より「どの距離を整えるか」が大事
特に中小企業や実店舗では、この違いが大きいです。
大企業のように、広告もSNSもPRも採用も全部同時に強く打てるわけではない。
人手もお金も時間も限られている。
だからこそ、全部を並列に考えるのではなく、
自分たちは今、どの距離の接点を整えるべきなのか
を見極める必要があります。
来店した人とのつながりが弱いのに、遠くへ認知だけを広げても、取りこぼしが大きくなるかもしれない。
逆に、近い接点はかなり強いのに、そもそも知ってもらえていないなら、遠距離の施策が必要かもしれない。
あるいは、近距離も遠距離もある程度できているのに、地域の中での存在感が薄いなら、中距離を見直したほうがいいかもしれない。
こうやって考えると、マーケティングは
「何をやるか」
ではなく、
どの距離が足りなくて、どの距離が強くて、どの距離をどうつなぐか
の話になります。
私はこの見方のほうが、現場ではずっと使いやすいと感じています。
近距離・中距離・遠距離に分けると、役割が見えやすくなる
私が考えている距離マーケティングでは、接点を大きく3つに分けています。
近距離
中距離
遠距離
近距離は、来店後や接客中、商談中のような近い接点です。
LINE公式アカウント、接客、会話、店頭POP、ポイントカード、提案資料などがここに入ります。
中距離は、地域や生活圏の中で届く接点です。
ポスティング、商圏内配布、地域との関係づくり、近所での評判、周辺店舗とのつながりなどです。
遠距離は、広く認知を取りにいく接点です。
SNS、広告、PR、メディア掲載などがここに入ります。
こうやって分けて考えると、施策の役割がかなり見えやすくなります。
たとえば、同じ「集客したい」という悩みでも、
遠距離が弱いのか。
中距離が弱いのか。
近距離が弱いのか。
によって打つべき手は変わります。
ここを分けずに考えると、全部が「集客施策」になってしまう。
でも実際には、それぞれが担っている役割は違うんですよね。
私はこの違いを整理する言葉として、「距離」がすごくしっくりきました。
距離で考えると、「順番」も見えてくる
この考え方のいいところは、役割だけではなく
順番
も見えてくることです。
中小企業や実店舗のマーケティングでよくあるのは、遠距離から先に頑張ろうとすることです。
SNSを頑張る。
広告を出す。
PRを打つ。
もちろん、それが必要な場面もあります。
でも、来店後の接点や、再来店の導線や、店内体験が整っていないまま遠距離を強くしても、せっかく来た人をつなぎ止めにくい。
逆に、近距離が整っていると、一度来た人との関係を深めやすくなります。
そのうえで遠距離を打つと、集客がただの一回きりで終わりにくくなる。
つまり、距離で考えると
何をやるか だけではなく、
どの順番でやるか
が見えてくるんです。
これは、施策の一覧表を眺めているだけでは、なかなか見えてきません。
距離で考えると、「つながり方」まで見える
もうひとつ、この考え方が好きな理由があります。
それは、距離で考えると
施策がバラバラではなく、つながって見える
ことです。
たとえば遠距離施策で掲載実績をつくる。
その実績が、提案資料や商談の場で効く。
すると近距離の信頼が強くなる。
逆に、近距離で濃い体験をつくる。
その体験が口コミや評判になる。
すると、結果として遠距離に広がっていく。
中距離もそうです。
地域の中で関係をつくることが、近い接点の安心感にもつながるし、遠くから見たときのブランドの厚みにもつながる。
こう考えると、マーケティングは
「SNS」「LINE」「広告」「チラシ」といった別々の箱ではなく、
距離の違う接点同士がどう循環するか
として見えてきます。
私はこの見え方が、すごく好きです。
距離で考えると、「やらないこと」も決めやすくなる
施策で考えていると、どうしても「何を増やすか」の話になりやすいです。
SNSもやったほうがいい。
広告もやったほうがいい。
LINEもあったほうがいい。
チラシも配ったほうがいい。
もちろん、全部できればいいのかもしれません。
でも、現実にはそんなに簡単ではない。
だからこそ大事なのは、
何をやるかだけではなく、何を今はやらないかを決めること
だと思っています。
距離で考えると、それがしやすくなります。
今は遠距離より、近距離を整える時期。
今は近距離だけでなく、中距離の関係づくりを強める時期。
今は遠距離を開きすぎず、近距離の濃さを守る時期。
そんなふうに、やることと同時に、やらないことも設計しやすくなる。
これは中小企業にとって、かなり大事なことだと思います。
距離マーケティングは、「施策の置き換え」ではなく「見方の置き換え」
ここで大事なのは、距離マーケティングは
「SNSの代わりにこれをやりましょう」
みたいな話ではない、ということです。
そうではなくて、
SNSも、LINEも、広告も、チラシも、PRも、接客も、紹介も、地域との関係も、
それぞれを
どの距離の接点として捉えるか
という見方の話です。
つまり、施策を否定したいわけではないんです。
むしろ逆で、施策をよりちゃんと使い分けるために、距離で考えたい。
私はそう思っています。
何をやるかを決める前に、
それがどの距離の接点なのかを見る。
その距離は今、自分たちに必要なのかを見る。
必要なら、どの順番で整えるかを考える。
このほうが、マーケティングはずっとシンプルになります。
マーケティングは、もっと関係として見てもいい
私はたぶん、マーケティングを数字や施策だけで見るよりも、
人との関係のつくり方
として見たいんだと思います。
どれだけ遠くまで届けるか。
どれだけ近くでつながるか。
地域の中でどう存在するか。
その接点がどう循環するか。
そうやって見ると、マーケティングは急に生々しくなります。
ただ広告を打つ話ではなくなる。
ただSNSを更新する話でもなくなる。
誰と、どの距離で、どうつながるか。
その関係をどう育てるか。
私はそこに、すごく本質がある気がしています。
だから、マーケティングを施策ではなく距離で考えるようになりました。
そのほうが、今どこを整えるべきかが見えやすい。
そのほうが、やることとやらないことを決めやすい。
そのほうが、接点同士のつながりも見えやすい。
そして何より、
お客さんとの関係を、ただの導線ではなく、ちゃんと関係として考えられる
気がするんです。
クリエイティブジャンプでは、こうした顧客との接点を距離で捉える考え方を、距離マーケティングと呼んでいます。
LINE公式アカウントなど来店後・接客中の接点を「近距離」。
ポスティングや商圏内配布、地域との関係づくりのように生活圏で届く接点を「中距離」。
SNSや広告、PRなど広く認知を獲得する接点を「遠距離」。
大事なのは、施策の名前をたくさん覚えることではない。
自分たちが今、どの距離の接点を整えるべきなのかを見極めること。
その視点があるだけで、マーケティングは少しわかりやすくなる。
私はそう思っています。


